特別展・企画展

第64回企画展 「中華世界の民間版画 ―招福の祈り―」


 中国の庶民が生活のなかで使用・消費していた印刷物を総称して「中国民間版画」といいます。大きなものはタタミ一枚ほどもあり、小さなものは郵便切手ほどです。
 民間版画の種類は幅広く、礼拝の対象である神像図から室内装飾の吉祥画、願いを込めて
焼く「紙馬」、他に包み紙や遊具(凧絵、双六、紙牌など)、壁紙や刺繍の型紙までも含みます。
 民間版画が大量に消費される時期は、年末から正月にかけてです。年末に売り出される民間版画の代表的なものが「年画(部屋を装飾する。吉祥図や物語の図)」や「門画(門扉に貼る。家を守る「門神」や吉祥をもたらす天官・仙女・童子の図)」、「神像図(天地三界の神、財神、竈神など)」です。
 願いを込めて焼く「紙馬」や「紙銭」は、現在でも日常的に消費されています。また、以前は、祭事や葬儀に使う紙の作り物(「紮糊」といいます)にも民間木版画が多数使用されていましたが、現在これらはオフセット印刷に替わっています。
 本展では、当館所蔵資料の中から門画、紮糊、神像図、紙馬、年画類の民間版画を中心に展示します。また、民間版画の使われ方を理解していただくために「天公燈座」や「七娘媽亭」を新しく制作しました。珍しい資料としてこれからも展示します。実物の民間版画とその使用例から、民衆の“招福の祈り”が込められた数々をご覧ください。

◆会期:2011(平成23)年10月5日(水)~12月5日(月)
◆会場:天理参考館 3階 企画展示室1・2

 

子孫繁栄を願う版画「連生貴子」(れんせいきし)中国、天津

子孫繁栄を願う版画「連生貴子」(れんせいきし)中国、天津

チラシ

参考館動画 第64回企画展「中華世界の民間版画 ―招福の祈り―

 

展示詳細

 中国大陸や台湾など、中華世界に暮らす人々の間では、民間版画と呼ばれるジャンルの版画が日常生活の中で用いられています。古いものは木版印刷ですが、半世紀前頃から石版印刷によるものが主になり、最近はほとんどが樹脂版印刷、オフセット印刷です。大きさは、大はタタミ一枚近く、小は郵便切手ほどです。その用途は単に観賞にも用いられる絵ばかりではなく、願いを込めて燃やすもの、門や壁に貼って魔除けにする図、神として祈りを捧げる像などがあり、庶民の生活に密着しています。
 本展では、所蔵資料の中から門画(メンホア)、紮糊(ツァーフー)、神像(シェンシィアン)図、紙馬(ティーマー)、年画(ニィエンホア)などを中心に展示します。特に今回は民間版画の用途に焦点を合わせて分類、紹介しました。また、台湾の老職人に依頼して「天公燈座(ティエンコンタンツォ)」と「七娘媽亭(チーニャンマーティン)」(いずれも紮糊)を新たに制作しました。台湾においても紮糊は消滅に向かっています。これらの実作品によって民間版画の多様な使われ方が見えてくるでしょう。
 民間版画の実物とその使用例を通して、中華世界の民衆が希求した「しあわせ」を読み取り、感じ取っていただければ幸いです。

「中国民間版画」について
 中国の庶民が生活のなかで使用・消費していた印刷物(主に木版印刷)を総称して「中国民間版画」という。古くは宋代[960-1279]の都市と庶民の暮らしを書き留めた『東京夢華録(とうけいむかろく)』(孟元老著)の「十二月」の項に具体的に記録されている。
 民間版画の種類は幅広く、礼拝の対象である神像図から室内装飾の吉祥図、菓子や線香の包み紙、遊具(凧絵(たこえ)、双六(すごろく)、紙牌(かみはい)など)、壁紙や刺繍の型紙までも含む。しかし同じ木版印刷で作られていても経典や書籍は別のジャンルに分類し、民間版画からは除外して考えられている。
 民間版画が一番消費される時期は、年末から正月にかけてである。年末に売り出される民間版画の代表的なものが、「年画」(部屋を装飾する。吉祥図や物語の画)や「門画」(門扉に貼る。家を守る「門神(メンシェン)」や吉祥をもたらす天官・仙女・童子の図)、「神像図」(天地三界の神、財神、竈神(そうしん)など)である。
 願いを込めて焼く「紙馬」や「紙銭(チィーチェン)」は、現在でも日常的に消費されている民間版画である。また以前は、祭事や葬儀に使う紙の作り物(「紮糊」という)にも民間版画が多数使用されていたが、現在これらは木版印刷からオフセット印刷に替わっている。

 

 

関連イベント

記念講演会

  講演(1)「中国民間版画入門」 講師:三山陵氏(大東文化大学大学院非常勤講師)
  講演(2)「台湾伝統版画の研究 ―その歴程と現状―」 講師:楊永智氏(台湾・東海大学兼任講師/逢甲大学博士生) ※日本語通訳あり
  日時:2011(平成23)年10月15日(土) 午後1時30分から
  会場:当館研修室

第211回トーク・サンコーカン  「天理参考館の中国民間版画 ―所蔵資料の紹介とギャラリートーク―」

  日時:2011(平成23)年11月26日(土) 午後1時30分から
  講師:中尾徳仁学芸員
  会場:当館研修室
  定員:100名
  受講料:入館料のみで受講できます 

列品解説

  日時:2011(平成23)年10月26日(水) 午後1時30分から
  会場:当館3階企画展示室

 


 

出品リスト

 

№ 資料名 制作時期 制作地 サイズ 制作店舗名
門画
1. 秦叔宝 20世紀前半 天津市楊柳青 155.0cm
2. 尉遅敬徳 20世紀前半 天津市楊柳青 155.1cm
3. 秦叔宝 20世紀前半 天津市楊柳青 49.3cm
4. 尉遅敬徳 20世紀前半 天津市楊柳青 49.3cm
5. 時招万里財 20世紀中頃 台南米街 33.6cm
6. 日進千郷宝 20世紀中頃 台南米街 34.5cm
7. 太極八卦 20世紀中頃 台南米街 19.4cm
8. 獅頭啣剣 20世紀中頃 台南米街 20.8cm 呉聯發

紮糊
9. 七娘媽亭 2011年 台南米街 高141.5cm 王泉盈紙荘
10. 七娘媽亭 2011年 鹿港 高137.1cm 同徳發
11. 七娘媽亭 1984年 台南 高136.0cm 慶祥糊紙店
12. 七娘夫人 20世紀中頃 台南米街 24.1cm 林榮芳
13. 籃花簾 20世紀中頃 台南米街 17.1cm 林榮芳
14. 献寿進禄 20世紀中頃 台湾 20.5cm
15. 天公燈座 2011年 鹿港 高124.5cm 同徳發
16. 天公燈座 2011年 台南米街 高150.5cm 王泉盈紙荘
17. 天官 2011年 台南米街 高65.3cm 王泉盈紙荘
18. 地官 2011年 台南米街 高64.5cm 王泉盈紙荘
19. 水官 2011年 台南米街 高64.7cm 王泉盈紙荘
20. 一心誠敬 20世紀中頃 台南米街 49.0cm 林榮芳
21. 天官賜福 20世紀中頃 台南 27.2cm
22. 天水郡 19世紀末期~20世紀初期 福建省泉州 12.8cm 美記
23. 祈求平安 19世紀末期~20世紀初期 福建省ショウ州 12.6cm
24. 双獅戯球 19世紀末期~20世紀初期 福建省泉州 12.5cm 勝記
25. 鳳儀亭 20世紀前半 台南 9.5cm
26. 瓶花香炉 20世紀中頃 台湾 24.5cm

神像図 
27. 上関下財 20世紀前半 天津市楊柳青 120.0cm
28. 竈神 20世紀前半 華北 35.0cm
29. 「観音媽聯」版木 19世紀末期~20世紀初期 台湾 全長123.0cm
30. 天上聖母 20世紀中頃 台南大 天后宮 28.7cm
31. 天地三界十八仏諸神 20世紀前半 華北 82.5cm
32. 眼光娘娘 20世紀前半 華北 28.9cm
33. 東厨司命 20世紀前半 華北 26.8cm
34. 増福財神 20世紀前半 華北 38.8cm

紙馬
35. 白虎 20世紀中頃 台湾 11.7cm
36. 閻王 20世紀中頃 台湾 10.5cm
37. 太歳 20世紀中頃 台湾 10.9cm
38. 五鬼 20世紀中頃 台湾 10.9cm
39. 十二元神 20世紀中頃 台湾 11.0cm
40. 亡魂 20世紀中頃 台湾 11.9cm
41. 血神之神 2004年 雲南省大理 13.4cm
42. 水府龍王 2004年 雲南省大理 15.5cm

年画
43. 連生貴子 20世紀前半 天津市楊柳青 47.3×46.7cm
44. 売魚婆 19世紀末期~20世紀初期 上海市 23.5cm イン香齋
45. 第二册 19世紀末期~20世紀初期 上海市 24.9cm イン香齋
46. 童楽図 20世紀後半 天津市楊柳青 51.5cm 齊健隆

その他
47. 張天師符 20世紀中頃 台湾 42.5cm
48. 仏祖鎮宅平安神符 20世紀中頃 鹿港龍山寺 47.0cm
49. 掛銭 20世紀後半 台南
50. 窗画 20世紀末期 河北省武強 73.2cm
51. 「福禄寿」版木 20世紀前半 台湾 13.0cm
52. 「金徳泰印記」版木 20世紀前半 台湾 8.1cm
53. 水滸紙牌 20世紀前半 推:山東省
54. 陞官図 20世紀末期 河北省武強 50.5cm

※サイズは「版の天地」の値です。その他の場合は逐次表記しています。 
※状況に応じて展示内容を変更することがあります。

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