ブログ布留川のほとりから

縄文時代の耳飾り

2018年02月05日 (月)

開催中の2018年新春展「はれの日の装い 装身具の歴史」では、縄文時代の耳飾り18点を展示しています。縄文時代の耳飾りは、大きく分けて2種類あります。ひとつは図の右端にある大文字のCのような形で、多くは石製です。中国の「けつ」と呼ばれる石製品に形が似ているので「けつ状耳飾り」と呼びます。身につけるときには、耳たぶに開けた孔に通します。もうひとつは図の中央のような円形や輪形で、多くは土製です。つけるときには、やはり耳たぶに開けた孔に全体をはめこみます。

どちらも、耳たぶに孔を開けなければつけられないのです。いきなり大きな孔を開けたのではなく、子どもの頃に小さな孔を開けて小さな耳飾りをつけて、徐々に大きくしていったのでしょう。それにしても、今のピアスの孔と比べものにならないくらい大きな孔です。開けるときにはどんなに痛かっただろうと思います。

 

縄文時代の耳飾り01

縄文時代の耳飾り02

 

さらに、左上の中央に孔のある耳飾りは直径が6.2センチメートルありますが、裏側が空洞なので、重さは57グラムです。一方、右上の渦巻き文様の方も直径は6.0センチメートルとほぼ同じですが、空洞ではないので重さが73グラムあります。大した違いではないのですが、手に持った時の重量感がずいぶん異なり、渦巻きの方はずっしりと感じます。どちらも厚さは2センチメートル程度あります。これを耳たぶにはめていたら重いし邪魔だろうと思います。

 

古墳時代の耳飾り

金色のものは古墳時代の耳飾りです。けつ状耳飾りと同じく大文字のCのような形ですが、つける時には図の左端のように耳たぶをはさむので、耳たぶに孔を開ける痛さは伴いません。金属製ですが直径が3.5センチメートルで中空なので、重さは52グラムです。
縄文時代のひとたちは、痛い思いをしてまで装身具を身につけていました。その理由は、現代の私たちがおしゃれのために身につけるのとは違っていたのでしょう。祭りの時に中心になる人、ほかの人が敬意を払う人などが装身具を身につけて目立つことで、立場や役割を表していたのではないでしょうか。

 

小さな石や土の遺物からでもいろいろなことがわかります。今回の展覧会では約200点も展示しており、半分は初公開です。どうぞ見学にお越し下さい。

 

【2018年新春展ブログ6】

考古美術室 F 

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