ブログ布留川のほとりから

少し気が早いですが蚊帳を吊りました

2023年05月12日 (金)

五月人形と入れ替わりに2階民家ステージに蚊帳(かや)が登場しました。網戸のないころ、蚊帳は蚊などの虫の侵入を防ぐために室内に吊した夏の風物詩です。しかし、蚊帳を出すには少々時期が早いのですが。

 

 

島崎藤村は『短夜の頃』※のなかで「どれ、そろそろ蚊帳でも取り出さうか。これはまだ梅雨の明けない時分のこと、五月時分からもう蚊帳を吊ってゐると言ってよこした人への返事に、わざと書いて送らうと思った私の戯れだ」と蚊帳について触れています。「まだ梅雨の明けない時分」でも「そろそろ」なのに、梅雨入りしていない「五月時分」に早々と出しては、季節感がないと藤村に叱られそうです。

 

「短夜(みじかよ)」は、そもそも夏の季語です。ゴールデンウィーク以降、日差しが強くなってまいりました。気象庁による「暖候期予報」では今年も暑い夏になりそうです。一足先に蚊帳で涼しさを感じ取っていただければ幸いです。

 

  ※『藤村全集』第13巻(筑摩書房 1967)所収

 

日本民俗室 H 

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