ブログ布留川のほとりから

伝統的な日本版ドールハウス-御殿飾り雛人形-

2023年03月01日 (水)

令和5年弥生3月、今年もひなまつりの季節がやってきました! 2階では、スポット展示「雛人形」をご覧いただきます。

 

これは御殿飾り雛人形で、組み立てた建物の中に男雛女雛を飾り、その前にはお仕えする三人官女が控えます。 建物の外には警備に当たる武装した随身を配し、その下には下働きをする仕丁を置きます。三人の仕丁は庭掃除もそこそこに酒盛りをしています。

 

屋根を檜皮で葺いたものや、源氏枠と呼ばれる屋根のないタイプのものなど様々な御殿があります。本職の大工さんに組み立ててもらう立派な御殿もありますが、屋根を外すと建具をパタンと折りたたんで、案外コンパクトに収納できます。 御殿飾りの難点はお雛さまのお顔が見えにくいところですが、奥ゆかしく中でゆったりとくつろいでいらっしゃいます。

 

御殿飾り雛人形は関西を中心に、明治から昭和30年代頃まで人気がありました。対して関東は段飾りが主流で、武家の嫁入り道具一式を並べる傾向があります。 昭和30年代末になると、百貨店や大手人形店が一式揃えの段飾りやガラスケース入りの雛飾りの販売に力を入れるようになり、御殿飾りは次第に姿を消していきます。

 

西欧のドールハウスは家具や調度品など内装を重視しますが、日本は「御殿」というだけあって、外観のつくりにまず目を奪われます。

左は屋根がある御殿飾り(昭和)。右は『源氏物語絵巻』で用いられる“吹き抜き屋台”という屋根のない構図と同じため「源氏枠」と呼ばれるタイプの御殿飾り(大正)。〈ともに館蔵品〉

日本民俗室 H 

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