ブログ布留川のほとりから

蹴鞠 その4

2020年07月01日 (水)

日本の蹴鞠に関連して、3回にわたって述べてきました。
蹴鞠が美しい装束を身につけた優雅な貴族の「単なる遊び」という印象を与えたのなら本意ではありません。

 

蹴鞠は
右足のつま先のみを使う
3足で相手に蹴り渡す
後退して蹴ってはいけない
中心に背を向けて蹴ってはいけない
等々、いろいろな制約があります。
そのなかでも、相手がキャッチしやすいよう、放物線を描くように「うるはしく」鞠を蹴り上げることが最も重要視されました。

 

現代のような設備のない時代でも、鍛錬しなければなりません。桶を逆さまに天井から吊り下げ、桶の口と同じ円周をかたどった中に立って、真上の桶に鞠を蹴り上げる練習を繰り返しました。
天理図書館蔵の鎌倉時代の蹴鞠秘伝書には、そのように練習を続けると「足魂(あしだましい)」ができて自然に身体が鞠に反応して足が即座に出るようになると書かれています。

 

蹴鞠の装束:鞠水干 桃色紫片身替唐花菱亀甲丸金紗上
(まりすいかん ももいろむらさきかたみかわりからはなびしきっこうまるきんしゃのかみ)
片方ずつ色目が異なる鞠水干は上級者のみに着用が許された。
創立90周年特別展「スポーツの歴史と文化」にて展示中

日本民俗室 H 

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