ブログ布留川のほとりから

貝輪を展示しました

2020年04月10日 (金)

布留川の川辺では、桜とユキヤナギからツツジの時期になってきています。今年の春は、桜も楽しめないとんでもないことになってしまいました。残念ながら天理参考館も臨時休館することになりました。
考古美術の常設展示室では、先日縄文時代の貝輪を追加展示しました。貝製の腕輪は縄文時代を代表する装身具で、北海道から九州にいたる広い地域で使われました。言い換えると、特に珍しくない物ということになります。でも今回展示した貝輪は特別なのです。
貝輪の材料には巻き貝、二枚貝、牡蠣と、いろいろな貝が使われました。ちょっとお高いお寿司屋さんでお目にかかるアカガイも、立派な貝輪になったのです。腕にはめられる大きさの貝殻があれば作れるものですし、食べた後の殻を使うのですから、材料には困らない訳です。

 


今回展示した貝輪は、オオツタノハという巻き貝でできています。この貝は暖かい所に生息する貝で、日本ではトカラ列島や大隅諸島と伊豆諸島にしか生息していません。ところがオオツタノハ製の貝輪は、海を隔てて遠く離れた北海道から福井県や愛知県までの縄文遺跡から約260点出土しているのです。それほどの距離を運んでやっと手に入れたオオツタノハで作った貝輪を身につけることができた人は、特別な立場の人だったと考えられます。この貝がなぜ特別扱いされたのかはわかっていません。「参考館セレクション」で愛知県から出土した1点をご紹介していますので、ご覧下さい(参考館セレクション:貝輪)。美しく輝くとか、ものすごく大きいとか、まん丸で綺麗とか、まったくそういうことはありません。私には、むしろ地味な普通の貝に見えるのです。
天理参考館では、岩手県・福島県・愛知県から出土した計8点のオオツタノハ製の貝輪を所蔵しています。今回展示したのは福島県いわき市の貝塚から出土した5点です。福島県出土のオオツタノハ製貝輪はこれまで知られていなかったので、分布の空白域を埋める重要な資料です。
ゴールデンウィーク中も休館となってしまいましたが、またお客様と展示室や研修室でのんびりとお話できる日が、早く戻ってきて欲しいと思います。
どうかみなさま、無事でお過ごしになりますように、心からお祈り申し上げます。

考古美術室 F 

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