ブログ布留川のほとりから

イラン出土の三角形文土器

2019年02月20日 (水)

3階常設展示室のオリエントコーナーに、新たに2点の彩文土器を展示しました。いずれも鉄器時代である紀元前9、8世紀頃に今のイランの西方、ルリスタン地方で作られたものです。主文が三角形であることが特徴で、メディア王国と関連づけられる土器です。

 

この文様は実は後期青銅器時代に盛んに作られていた彩文土器の伝統を継承するもので、鉄器時代では珍しいものと言えます。この時期、彩文土器がすっかり影を潜め、磨研土器など無文土器が主流となるからです。おそらく外部から来た部族からなるいくつかの小さな国が羽振りをきかせ、これまでの土着の部族が小さく残った結果ではないかと思われます。

 

イラン鉄器時代はこうした小さな国が乱立していた状態でしたが、実はこの小国メディアがイランを束ねるようになり、そしてついには巨大なアッシリア帝国を滅ぼすことになります。
歴史は時にこうしたおもしろい現象を見せてくれます。この展示品2点は小さくて目立たない資料ではありますが、その内には大きな歴史の転換を秘めています。

考古美術室 T 

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