ブログ布留川のほとりから

天理参考館は創立93年を迎えます-創設者と蒐集家-

2023年04月27日 (木)

当館は4月28日で創立93年を迎えます。

振り返れば、創設者の中山正善天理教二代真柱(1905-1967)が大正14年に博物館の資料収集を発意したことに始まります。以来、大正、昭和、平成、令和と収集・保存・展示・調査研究の活動を精力的に継続しています。

 

93年の歴史のなかで、開催中の第92回企画展を担当する「交通文化室」誕生についてご紹介します。

鉄道博物館や車に特化した博物館でもないのに、当館には交通文化室が存在します。

そこには、“乗車券蒐集家”として20代から有名だった山本不二男(1896-1982)コレクションを核とした充実した交通資料群が収蔵されているのです。

 

家業の質屋の傍ら、「蒐めるなら、既に大家がいる切手や古銭ではなく、切符だ」と考えた山本は15歳から活動を開始します。

一大コレクションを築いた後、その将来的な保存について思いを巡らせていた頃に中山正善に出会います。昭和32年に中山はコレクションを一括で受け入れ、長く大切に保存することを約束しました。それだけではなく、「今まで通り収集・整理保存作業を続けるように」と山本を職員として採用したのです。

コレクションだけでなく、コレクターごと博物館に受け入れるのは稀有な例でしょう。

 

「よくこんなものが残っていますね」と企画展をご覧になった来館者からよくお声をいただきます。

20万点の資料を蒐集したコレクターと、コレクターが持っている情報の重要性を見抜いた創設者。

2人の卓見と炯眼に始まる交通文化室です。

 

そして、天理参考館は創設者の理念に支えられて創立93年を迎えることができました。これからも来館者のみなさまに喜んでいただけるよう活動してまいります。

 

展示作業中の山本不二男

 

●4月27日(木)午前10時30分~11時/午後1時30分~2時 鉄道模型走行実演と出札・入鋏体験イベント

●4月28日(金) 創立記念日のため休館

●5月20日(土)午後1時30分~3時 記念講演会「大阪電気軌道・大阪鉄道の路線拡張と兼業」講師:谷内 正往氏(大阪商業大学教授)

●5月24日(水)午後1時30分~ ギャラリートーク(展示解説)

 

第92回企画展ブログ10】

日本民俗室 H 

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