天理参考館
TENRI SANKOKAN MUSEUM

参考館セレクション

世界の考古美術双龍環頭把頭(そうりゅうかんとうつかがしら)

日本 古墳時代(6~7世紀)
長10.1㎝
資料番号:日1237

展示中 3-14

岐阜県の狐塚古墳から出土した金銅製の把頭です。
狐塚古墳は横穴式石室を埋葬施設とする直径11mの円墳です。石室は長さが330cm、玄室幅が193cmあり、ここから明治年間に金銅製の把頭のほか、金銅製の金環2、滑石の勾玉3、須恵器などが出土しています。
この把頭は刀の握りの頭部につけられた装飾品で、環内に一つの玉をくわえ合って向かい合う龍が配されています。これを双鳳環頭とする見方もあります。環と双龍(鳳)は別に作られていて、おそらく柄によって接合されているものと思われます。双龍(鳳)の縁辺や目の周囲は鏨によって打たれた点線で飾られています。頭部には3本の冠毛が見られますが、角を欠いています。
環には、龍の全身を浮き彫り風に表現していますが、著しく変形されていて龍とはわからなくなっています。
双龍・双鳳環頭大刀は、これまで全国で60例近くが発見されています。盛行した年代は、単龍・単鳳環頭大刀と一部重複するところがありますが、それよりは新しく、6世紀後半から7世紀にかけて多くつくられました。
本例は環が太く龍体も肉厚の古い型式のものですが、時期が降ると、環が薄く龍体も板状に変化していきます。