天理参考館
TENRI SANKOKAN MUSEUM

参考館セレクション

世界の考古美術緑釉皮囊壺(りょくゆうひのうこ)

中国 遼時代(10世紀~11世紀)
緑釉陶
高 27.9cm
資料番号:中1201

展示中 1-0

遼(りょう)時代に作られたこの種の器は、遊牧民族にとっての必需品であった皮製の水袋の形状を模したもので皮囊壺(ひのうこ)と呼ばれる器形です。この器も細部を見てみると、陶器でありながら皮袋の縁に見られる皮の合わせ目の表現が凸帯(とったい)でしっかりと施されていることがわかります。また、器の形が鶏冠(とさか)のあるニワトリの姿を想起させることから鶏冠壺(けいかんこ)と呼ばれることもあります。
皮製の水袋を模したこのタイプの器は遼時代特有の器形で、写真に示したような形以外にも様々なタイプのものが存在します。この器のような上半部が扁平につぶれ、一方に注口、もう一方には角形の把手がつくという形式のものは、これまでの出土例から10世紀の終わり頃から11世紀の初め頃に生産されたものと考えて良いでしょう。器の表面には流雲文が線刻され、底裏以外は美しい緑釉が掛けられています。また、かつては注口に蓋がつけられていたと考えられます。
遼は遊牧系民族である契丹(きったん)人によって建国された国で、中国北方に広大な支配領域を持つ強力な国家でした。また、北京の周辺を含む中国の重要区域をも領有しており、中国文化を受容しつつ独自の魅力的な文化を形成していきました。契丹は、元来は製陶技術を持ってはいませんでしたが、中国的な王朝として遼を建国し、中国文明を積極的に導入する中で製陶技術についても獲得していきました。そういった中で生み出されたのが、写真のような独自の器であったのです。