ブログ布留川のほとりから

プトレマイオス地理学と世界認識

2020年11月25日 (水)

プトレマイオスはローマ時代にエジプトのアレクサンドリアにいた人物です。天文学者、数学者、地理学者でいわば天才の博物学者です。彼は地球が球体であることをすでに認識していて、しかも地球を平面に描写する図法まで考え出していました。しかし中世ヨーロッパでは、地球球体説は聖書と合致しないとんでもない考えとして否定され、プトレマイオスも忘れ去られていました。

ルネサンスに入り、古代ギリシア・ローマの復興とともに地球球体説も復活します。地球球体説をとなえたトスカネリの、西に向かってもアジアに到達できるとする言葉を信じて航海に出たのがコロンブスでした。プトレマイオスも再評価され、彼の著作『地理学』は訳され世に知られるようになりました。

この地図はプトレマイオスが考えていた世界が描かれています。よく見て下さい、アフリカは下でぐーんと東に延びて、アジアと陸続きとなっています。そしてインド洋は内海になっているのです。探検者たちが大海原に乗り出して新しい発見があるたびに、この地図は描きかえられて行きます。喜望峰が発見されるとアフリカをインド洋に回航できる大陸として描いたり、アメリカ大陸を加えたり、同じプトレマイオス地図でもどんどん変わっていくのが分かります。その変化が見られるように、開催中の創立90周年特別展「大航海時代へ―マルコ・ポーロが開いた世界―」では、本例を含めプトレマイオス『地理学』を3点展示しています。地図の変化を見るだけでも楽しいですよ。

 

 【特別展大航海時代へブログ7】

考古美術室 T 

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