ブログ布留川のほとりから

八曲長杯とその伝播

2020年10月27日 (火)

縁が八個に曲がって花びらのような形になっている細長い杯を、八曲長杯(はっきょくちょうはい)と言います。銀製で、時に細かい文様や鍍金が施されたりしています。ペルシアとその周辺地域でゾロアスター教を信じていた人々が作ったサーサーン朝系銀器の中でも、特に特徴的な器形と言えます。この形は一目見れば忘れられないですよね。素晴らしいデザインですので、これを考えた人物がもし今いれば、有名なデザイナーとして活躍しおそらく何かの賞をとるのではないでしょうか。

 

これが中国の唐にもたらされると瞬く間に流行し、それを真似て中国でも作られるようになります。そして実は正倉院にもあるのです。それが金銅八曲長杯(こんどうのはっきょくちょうはい)です。銅で作り全体に鍍金(ときん)を施しています。日本で作られたのではないかとも言われています。実はこれには文様はありません。どうしてでしょうか。私はこう思います。

遣唐使たちは華やいだ唐の都長安に驚きながら入って行ったことでしょう。そこには異国情緒あふれるものがたくさんありました。そして特に目に焼き付いたのが八曲長杯でした。この形をスケッチした人もいたでしょう。そこに見事な文様があったとしても、奇妙だがなぜか惹かれてしまうこの形が気になるのです。そうして遣唐使が持ち帰ったスケッチをもとに日本で作られたのが金銅八曲長杯ではないでしょうか。あくまでもただの推測にすぎません、悪しからず。

 

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考古美術室 T 

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