ブログ布留川のほとりから

「白髭の老人を従えた貴公子とは?」―五月人形 その4―

2019年05月01日 (水)

現在展示中の五月人形飾りに、眉目秀麗な貴公子と、そばに控える老人がいます。
これは、どなたをあらわしているでしょうか。

 

白髭の老人が家来で大丈夫?と心配するなかれ。
このお方は最強です。
その名は「武内宿禰(たけのうちのすくね)」。
景行天皇から仁徳天皇まで5代の天皇に仕えた伝説上の忠臣で、白髭も納得です。
神功皇后と、赤ん坊を抱く武内宿禰が二人立ちになった五月人形をよく見かけますが、これはその赤ん坊が成長した応神天皇です。
生まれた男子が立派に成長して、宿禰のように長生きするようにとの願いを込めたのでしょう。

 

京都製は、五月人形でも武張った表現がないのが特徴です。
この人形も兜をかぶらず、金色の烏帽子をつけただけの優美な姿です。
京都の人は応神天皇に限らず、どの主題の五月人形でも「大将さん」と敬意と親しみを込めて呼びます。
大正11年京都の西陣生まれの男子に誂えたこの人形も、旧蔵者にそう呼ばれていました。

 

【五月人形 ブログ4】

 

大将さん 大正11年 京都市 全高42.0cm

日本民俗室 H 

ページの先頭へ