ブログ布留川のほとりから

「トラ!寅!虎!」―五月人形 その2―

2019年04月23日 (火)

現在展示中の五月人形飾りに、毛植えの虎と張子の虎が並んでいます。
馬は五月人形につきものですね。
馬は大将の乗物で、昔は最速の移動手段であり、高級な所有物だったからです。

 

では「なぜトラ?」
と、関東の人に質問を受けます。

 

「関東の」というところがポイント。
そうです。トラは関西特有の飾りだからです。
関西人はトラ好き。
異国の猛獣トラが、延宝3年(1675)大坂道頓堀で「虎のいけどり」として見世物に初登場します。
その後まもなく玩具化され、井原西鶴の『男色大鑑(なんしょくおおかがみ)』にも記述があるので、大坂人の心をつかんだのでしょう。
大阪市中央区道修町は薬種問屋街として有名ですが、江戸時代に大坂で三日コロリ(コレラ)が流行したとき、薬屋が虎にちなんだ丸薬を売り出しました。さらに張子の虎を作って疫病除けにしたことから、一層トラ人気が高まったそうです。

 

「トラは千里往って千里帰る」と言われることから、男の子の健康を祈る縁起から飾りに加わったと考えられます。
こわくてカワイイ虎をご覧ください。

 

【五月人形 ブログ2】

 

五月人形飾りより 虎と馬

日本民俗室 H 

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