ブログ布留川のほとりから

記念講演会「ササン朝ガラスの東方伝播」

2018年10月02日 (火)

浮出円形切子ガラス碗

正倉院宝物の白瑠璃碗と双子のような碗がもう一点、日本にあります。
大阪府羽曳野市の高屋築山古墳(安閑天皇陵)から出土したと伝えられるもので、現在、東京国立博物館に所蔵されています。
江戸時代の『河内名所図会』(享和元年・1801年)などに記載され、しばらく同市の西琳寺に納められていたようですが、明治に入って廃仏毀釈で行方不明となりました。しかし昭和25年に再発見されています。両者一組で中国経由で日本にもたらされ、一方は天皇陵に、一方は皇室に伝承され、聖武天皇が崩御した756年以降に正倉院に納められた可能性があります。井上靖『玉碗記』でも有名です。

 

昭和29年、福岡の北に浮かぶ沖ノ島での調査で、浮出円形切子ガラス碗断片が発見されました。
沖ノ島は海上交通とも関連があり、長期にわたり国家的祭祀が執り行われた祭祀遺跡です。
また昭和39年には、京都の上賀茂神社の本殿北側で踏査された際に、二重円形切子ガラス碗断片が採取されています。古代では祭祀の聖地であったと考えられます。こちらは現在、京都市立考古資料館に所蔵されています。

 

これらのガラス器はいずれも実はササン朝ガラスなのです。なぜ遠い西方の王朝のガラスが日本までもたらされたのでしょうか?
古代ガラス研究の第一人者であります林原美術館館長の谷一 尚先生に10月6日(土)午後1時30分よりご講演いただきます。お聞き逃しのないように、ぜひ天理参考館へお越し下さい。

 

【第83回企画展ブログ2】

考古美術室 T 

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