ブログ布留川のほとりから

ホメロスの世界(4)

2015年03月19日 (木)

トロイの木馬叙事詩「イリアス」はトロイ戦争が始まって10年目にあたる時から話が始まります。いわゆる「アキレウスの怒り」から「ヘクトルの葬儀」までです。アキレウスは向かうところ敵なしの剛の者として有名で、この話の主人公と言えます。最後は唯一の弱点であるアキレス腱を弓で射られて死んでしまいます。アキレス腱という名称はこのアキレウスからきています。ヘクトルは聡明で、もう一人の主人公と言えます。人徳のある人物ですが、アキレウスと戦って死んでしまいます。その二人の一騎打ちのシーンは非常に心打つシーンとして描かれています。

「イリオスの陥落」では有名なトロイの木馬が語られています。ヘクトルの死後もトロイは長らく持ちこたえていました。力ずくでは無理と判断したギリシア軍は、オデュッセウスの知略で陥落させることにしました。諦めてギリシアへ帰る準備をしているかのように見せて、アテナへの捧げ物だとして大きな1つの木馬を作って置いて行きました。実はその中にはたくさんの兵士が入っていたのです。トロイ側はギリシア軍が引き揚げたと誤解し、城門を開けて、木馬を歓喜とともに城内に引き込みました。夜に木馬から出てきたギリシア兵が城門を開き、味方の軍勢を呼び入れ、祝宴で眠っていたトロイの人々を襲い、トロイは陥落するのです。

【シュリーマン展ブログ05】


考古美術室 T 

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