天理参考館
TENRI SANKOKAN MUSEUM

参考館セレクション

世界の生活文化玩具「虎にひれ伏す2人の童子」(がんぐ「とらにひれふすふたりのどうじ」)

中国 遼寧省瀋陽にて蒐集
20世紀前半
虎から重りまでの最大高14㎝、柄と台の全長17㎝
木、土、糸
資料番号:09346

展示中 1-0

当館が所蔵する海外民族資料の1割強を占めるのが、岸本五兵衛(ごへえ)蒐集による「子壽里庫(ねずりこ)コレクション」です。岸本は大阪府西長堀で汽船会社を家業とする岸本家に生まれ、家督相続後は金融業・製造業・保険業等さまざまな分野に投資を行いつつ、国内外の郷土玩具や民俗資料を多数蒐集しました。この子壽里庫コレクションの中から中国大陸の玩具を選んで紹介します。
本品は、卓球のラケットのような台の上で虎にひれ伏す2人の童子をかたどった玩具です。左の柄部分を持ち、下部にある重りを水平に回転させると、重りの回転に伴って虎の口と尾、向こう側の童子の首、手前側の童子の首が順に上下し、威嚇(いかく)する虎を恐れてひたすら叩頭(こうとう)する童子たちの動きが楽しめます。重りの回転速度に合わせて、童子が叩頭する速さも変化します。
台は木製で、虎と2人の童子の人形、および重りは土製です。3体の人形はそれぞれ台上に固定されています。重りは約3㎝の球体で、そこには3本の糸が繋がれています。写真右側の2本の糸は、台の小さな穴を通って柄の上部に出て、それぞれの童子の首に結びつけてあります。また左側の糸は、同様に虎の口と尾に結ばれています。
重りが回転して童子側に振れると、糸の張りが緩んで童子の頭が上がります。しかし上がるのはほんの一瞬で、重りが童子から離れると糸に引っ張られて再び頭を下げます。これが、童子が虎に向かって叩頭する動作の仕掛けです。同様に、重りが虎側に振れると虎の口が開き、逆に重りが離れると口が閉じます。このように3箇所が交互に動く構造になっています。なお当館には、本品と同じ仕掛けを持ちながら、ひれ伏す対象が虎ではなく、小説『西遊記』に登場する孫悟空や猪八戒となっている資料もあります。
2020年9月現在、当館ホームページの「Twitter」コーナー(2020年4月27日配信分)で本品の遊び方を紹介する動画を公開しています。ぜひご覧下さい。

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