天理参考館
TENRI SANKOKAN MUSEUM

参考館セレクション

世界の生活文化七娘媽亭(チーニャンマーティン)

qiniang

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台湾 台南市 1984年
高136.0cm
資料番号:84-438

展示中 1-0

七娘媽亭は、成人儀礼に使用する紮糊(ツァーフー)です。「紮糊」とは、細く割った竹や高梁ガラを使って骨組を作り、それに紙を貼り付けて作った物の総称です。
本品は女神「七娘媽(チーニャンマー)」を祀る3層の社を象っています。竹ひごを骨組みとし、その上にさまざまな印刷物等が貼ってあります。1階の中心奥には七娘媽の立体像(樹脂および紙製)が4体、2階には3体が祀られています。各階には銀紙細工の欄干や龍柱(寺廟で使用される龍を象った石製の柱)、神像の切り抜き等が配されています。印刷物の大部分はオフセット印刷ですが、かつてはすべて木版印刷でした。
本品の使用方法は地域によって異なりますが、ここでは台南市の例を紹介します。子供が数え年で16歳になる年の7月7日(旧暦)が近づくと、両親は七娘媽亭の制作を祭祀用品店に依頼します。当日は七娘媽亭と金紙(神仏を祀る際に使用される金色の紙。冥界で使用するお金を意味します)、蝋燭(ろうそく)、線香などを廟に持参し、これらを七娘媽に供えて拝をします。続いて、七娘媽亭を設置した卓の下を子供がくぐって外に出る行為を行います。
廟の門前には焼却炉が設置され、くぐる行為を終えた参加者は、七娘媽亭を焼却炉まで運んで燃やします。燃やすことで、七娘媽亭を天にいる女神の元へ送ることができるのです。この成人儀礼は自宅で行われることもあります。
台湾では、子供の成長に応じて註生娘娘(チューションニャンニャン)、臨水夫人、七娘媽の三女神に願掛けをします。註生娘娘は「受胎」の女神で、結婚時に早く子宝に恵まれることを願います。妊娠すれば、「分娩」の女神である臨水夫人に安産を願います。無事出産したら、前述した七娘媽(「保護・成長」の女神)に、子供の健やかな成長を祈願するのです。