天理参考館
TENRI SANKOKAN MUSEUM

参考館セレクション

世界の生活文化連杯型酒器“ラガル”(れんぱいがたしゅき“らがる”)

台湾 屏東県泰武郷
民族集団名:パイワン
20世紀初頭
長62.5cm 木製
資料番号:17223

展示中 1-4

台湾の先住民には結婚式のような祝宴または祭儀で、仲の良さを認め合う2名が肩を並べ、杯が2つ連なった酒器の両端の柄を、それぞれが持って一緒に酒を飲む習慣があります。菱形をした杯の中には、自分たちの手でつくった粟酒や米酒を入れます。
この木製の酒器は主に台湾南部に暮らすパイワンのもので、“ラガル”と呼ばれています。随所に彫刻がなされ、持ち手である柄の部分には頭が三角の毒蛇が浮き彫りで表されています。この毒蛇は、台湾では百歩蛇(ヒャッポダ)と呼ばれていて、彼らパイワンの人びとの神話にも登場し、祖先神とも目されています。パイワン男性は彫刻の達人で、この百歩蛇や、人物像、動物などをモチーフにこの酒器の他にも壺や刀のさや、家の柱や梁(はり)、椅子などあらゆるものに一点一点丁寧な彫刻を施しました。
現在においては、このような彫刻されたものは先住民の工芸として芸術的な対象となることが多く、細やかに彫刻が施された伝統的な民具は、彼らの日常生活から離れていっている現状があります。同時に、木彫りができるパイワン男性の数も減少しているようです。しかしながら、未だに伝統的な生活を重んじている集落もあり、そこでは、こうした2人同時に酒を飲む習慣は今もなお伝承されています。2人仲良く、肩を寄せ合い一気に飲み干すさまは祝宴を一層明るくさせます。