天理参考館
TENRI SANKOKAN MUSEUM

参考館セレクション

世界の生活文化カチーナ人形(かちーなにんぎょう)

アメリカ合衆国 アリゾナ州
民族集団名:ホピ
20世紀初頭
高24.0cm コットンウッド製
資料番号:26133

展示中 1-0

カチーナとは、先住民ホピの間で伝承されている人間と創造主の中間的存在です。主食とするトウモロコシを中心にした農作物が順調に生育するためには、適度な日照時間と降雨が必要となります。そうした恵みをもたらしてくれるのがカチーナであり、冬至から夏至にかけて人々が暮らす集落を訪れると信じられています。
カチーナは300種類以上もあるといわれ、それぞれ異なる役割と外見を具(そな)えています。本来、こうしたカチーナを象(かたど)った人形は、思春期を迎える前の少女に親族が手作りし、贈られる教育的玩具です。子どもたちは人形を通じてカチーナの様々な特徴を学んだり、赤ちゃんをあやす練習をするのです。したがって、カチーナ人形は伝統文化を次世代へ語り継いでいくためのツールといえます。
その一方、人形のユニークな姿と種類の豊富さから、先住民以外の人々の間ではコレクターズアイテムとして高値で取引されることもあります。そうした需要に応じて、販売目的で制作されるものや、外観だけを簡略に写し取った模造品も多数流通しているのが現実です。
人形の素材となるのはコットンウッド(ポプラの一種)で、柔らかく軽い木材です。古いものは1本の木から削り出され、直立不動のポーズをしたものがほとんどです。着色には天然染料を使うのが本来のあるべき姿ですが、近年はアクリル絵具を使ったカラフルな作品もよく見られます。
本例は、ホピと信仰を共有する先住民ズニから借用したカチーナで、サリモピア(ズニ語)と呼ばれる戦士です。棒状の嘴(くちばし)があり、黒い羽根の襟巻(えりまき)を身に付けています。頭頂部には鳥を象徴する羽根飾り付けがあり、側頭部には退色が進んでいますが、花の模様が描かれています。基本的にカチーナ人形は自立する必要がないため、台座は後から付け足されたものと推測されます。

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