天理参考館
TENRI SANKOKAN MUSEUM

参考館セレクション

世界の生活文化邦字新聞のスクラップブック(ほうじしんぶんのスクラップブック)

ブラジル サンパウロ州
1950年
幅40.5㎝ 紙
資料番号:T88-100

展示中 1-0

創立90周年特別展「スポーツの歴史と文化」の出品資料から、スポーツの力が多くの人々に元気を与えた実際の出来事に関する資料を紹介します。
第二次世界大戦における日本の敗戦によって、ブラジルの日系人社会は筆舌に尽しがたい衝撃を受けました。日本が戦争に負けるはずがないという固い信念を持つ人々と、敗戦を事実として受け入れる人々の間に大きな分断が生じたのです。そうした混乱の中にあっても、日本人アスリートの世界的な活躍は、両者の垣根を越えて、人々を元気づける明るい知らせとなっていました。
戦後間もない時代に最も注目を浴びていた競技は水泳でした。1949年の全米選手権で世界記録を連発し、「フジヤマのトビウオ」の愛称で呼ばれていた古橋廣之進が、翌年ブラジルに遠征した際には、日系人社会から熱烈な歓迎を受けました。サンパウロで出場した大会では、戦中から禁止されていた日の丸の掲揚が戦後初めて許され、それを目当てに集まった日系人も少なくなかったといいます。
ブラジル在住の日系人の方が手作りしたこのスクラップブックには、現地の邦字新聞が掲載した当時の記事が収録されています。サンパウロ州マリリアで開催された国際水上大会を報じる1950年4月8日付の『ブラジル中外新聞』の紙面には「感激と興奮」、「先人未踏の金字塔」といった見出しが躍り、報道の過熱ぶりがひしひしと伝わってきます。

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