天理参考館
TENRI SANKOKAN MUSEUM

参考館セレクション

世界の考古美術青銅製馬形帯鉤(せいどうせいうまがたたいこう)

朝鮮半島 原三国時代 2~4世紀
長さ 8.2~9.8cm  青銅
資料番号:40-125~40-130

展示中 3-15

帯鉤(たいこう)とは革帯につける帯留め金具で、中国の春秋戦国時代から漢代にひろく用いられました。もとは中国北方の遊牧民が乗馬に際して着る衣服のベルトの留め金具として使用されていたものです。細長い琵琶形や匙形、棒状の一端を鉤状に曲げた形状のものが多く、青銅や鉄でつくられましたが、骨や玉製のものもあります。中には鍍金や象嵌で豪華に飾られたものもみられます。裏面の中央にはキノコ形をした留金具がつけられ、これで帯の端に開けた切り込みにボタンのように通して固定し、帯の他端に開けた孔に鉤をひっかけて留めました。秦始皇帝陵の兵馬俑などから具体的な使用方法を知ることができます。
写真は朝鮮半島で出土した馬形をした帯鉤です。右向きの馬の全身を表現していて、左前足を前方に伸ばして先端を曲げ留金具としています。鞍や顔の目や口などの表現はありません。現在、発掘資料は49例が確認されていますが、大きさによって3型式に分類されていて、大きいものから小さいものに、そして、文様も精緻なものから簡略化したもの、さらに無文のものへと変化したと考えられています。この馬形帯鉤は中国の帯鉤の影響を受けて朝鮮半島でつくられたものと考えられていますが、多くは2世紀後半から4世紀代にかけての三韓地域に分布します。これらは木棺の小口部にまとめて置かれたり、帯に連結したような状態で出土する例があることなどから、帯鉤本来の用いられ方よりも、帯の装飾物であった可能性も考えられています。