天理参考館
TENRI SANKOKAN MUSEUM

参考館セレクション

世界の考古美術石灰岩製被葬者像(せっかいがんせいひそうしゃぞう)

エジプト
古王国時代後期(紀元前2494~2181年頃)
現高26.8cm 石灰岩
資料番号:40-37

展示中 1-0

これは古王国時代のエジプトの墓に埋葬された石灰岩製被葬者像残片です。胸部以上の男子像が残るのみですが、本来は全身像です。立っていたか椅子に座った姿でした。写真では見にくいですが、左肩に他の人物の手が見られます。心霊写真みたいですが、もともとは夫婦像で、右側には寄り添う奥さんがいたのです。奥さんが優しく被葬者の左肩に手を掛けていたのです。仲睦まじい姿なのですが、今はその奥さんの像はなく、手だけが残っています。一見丸彫に見えますが、背面は板石から派生していますので、高肉彫です。第5王朝(前2494~2345年)、もしくは第6王朝(前2345~2181年)に作られたもので、鬘(かつら)と直線的な肩部は、古王国時代の特徴をよく示しています。
石灰岩製で真っ白でしたが、かなり風化が進んでいて表面が剥離して少しずつ白粉が落ちていく状態でした。そのままにしておくと表面のきめ細かい表現も消えて行く危険性がありましたので、保存処理を行いました。石材強化剤を含浸させ、表面を固めて補強しています。
こういう石像は古王国時代の墓から見つかります。ミイラを地中に埋めますが、地上部には家族が参拝に来られるような建造物が作られました。その建造物にはセルダブという密室があり、そこにこのような被葬者の石像が安置されていたのです。参拝者はそれを拝み供物を捧げました。またこの石像はミイラが万が一に消えてしまった場合にその代わりにもなる魂の依り代でもありました。
それにしても奥さんの像はどこへ行ったのでしょうか。できればまた一緒にしてあげたいものです。