天理参考館
TENRI SANKOKAN MUSEUM

参考館セレクション

世界の考古美術四神十二支文鎮墓石(ししんじゅうにしもんちんぼせき)

中国 唐~北宋
高さ12.8cm 幅15.9cm 石製
資料番号:2005A23

展示中 1-0

鎮墓石(ちんぼせき)とは、死者の魂を天界へと導き救済することを目的として道教儀式に用いられた石製品のことです。掲出はいわゆる五方五精石(ごほうごせいせき)と呼ばれる鎮墓石に該当するものでしょう。身の内側には5つの穴が空けられています。この5つの穴は東・西・南・北・中央の五方に対応し、それぞれに陰陽五行説に則った青・白・赤・黒・黄の五色の石を納め、その効力によって悪霊邪鬼を退けて墓を鎮め、生前の罪から墓主の魂を救済し、子孫に幸福がもたらされるように願ったものです。蓋の上面四周には37文字の銘文と四神(ししん)が、身の四周には獣頭人身(じゅうとうじんしん)の十二支像が線刻されています。これら四神と十二支獣も方位を守護する中国の神々であり、墓主の魂を救済する鎮墓石の働きをより確かなものにしているのです。本例に表れる五方、五色、五精、陰陽、四神、十二支などは、陰陽五行説において重要な役割を担う思想で、古代中国の人々はこれら陰陽五行説の考え方によって自然界のあらゆる事象を説明しようとしました。その考え方は現在にも脈々と引き継がれ、中国文化を特徴付けるものの一つとなっているのです。