天理参考館
TENRI SANKOKAN MUSEUM

参考館セレクション

世界の考古美術禽亀脚博山炉(きんききゃくはくさんろ)

a_c_kinkihakusanro

a_c_kinkihakusanro

中国 前漢 前2世紀~紀元前後
高22.8㎝ 青銅
資料番号:中792

展示中 3-16

博山炉は山形の蓋と海を表す立派な盤がついてセットになる香炉です。使い方は炉の中に香薬を入れ、盤に湯をそそぎ、湯気によって香薬を温め香りを出して楽しみます。楽しみ方はそれだけではなく、盤の中に施された造形美に眼がいくことでしょう。盤の中央には亀に蛇を絡ませた玄武と、亀の背に羽翼を広げて立つ鳳凰がリアルに表現され、頭には山形の蓋をかぶせた香炉が、博山と呼ばれる霊峰を形作っています。山岳の状況を漢代特有の描法で立体的にかたどっています。
亀や蛇は、天地創造神話に登場する動物であり、霊獣でもあります。特に亀は、細胞の代謝機能が遅いことから長寿の代表とされ、年1回以上の産卵を行う多産動物でもあることから人類創世の神とされています。中国の古典書には、亀の表記に神亀や霊亀といったものがあり、神明さや霊妙さを表す神聖な動物として描かれています。『淮南子』には、天地の柱が折れたとき、女媧が大亀の足を使って四方の柱としたという記載があり、亀は世界を支える動物として神格化されますが、この考え方は漢代には成立していたようで、これを基に四霊の中に亀が登場することになります。さらに北の方位を司る神として、玄武という名で四神の中に登場することになります。