ブログ布留川のほとりから

新春展で展示している人物埴輪

2018年01月15日 (月)

2018年新春展「はれの日の装い 装身具の歴史」が始まりました。今回は縄文時代の土偶、古墳時代の勾玉、江戸時代の柄鏡など多種多様な資料を約200点展示しています。そのなかで埴輪は10点あり、すべて人物埴輪です。 

 

黄金山古墳出土埴輪

「埴輪って底があるの?」と、同じ質問を何度かいただいたことがあります。写真は今回展示している、奈良県北葛城郡河合町貝吹黄金山古墳から出土した埴輪です。頭部が残っていないので、下から覗くとこのように向こう側が見えます。人物以外の形象埴輪も円筒埴輪も同じように、底はありません。
     

埴輪を下からのぞく

 

次にこの埴輪の姿形を見てみましょう。幅広の布を右肩から左の脇に斜め掛けにしたような服を着て、腰を紐でゆるく縛って、たすきがけをしています。ほかの埴輪の例から、このような服を着た埴輪は女性であり、正装して儀式に臨む姿であると考えられます。今回の展覧会は装身具に注目しているので、首飾りを見てみましょう。丸い玉が隙間なく並んで、正面には形が違う玉がひとつあります。丸い玉はガラスの玉で、正面の玉は勾玉でしょう。

 

埴輪首飾り

今回展示している埴輪には、いろいろな首飾りが表現されています。好きなアクセサリーを選べる現代とは違って、古墳時代には、身に着ける装身具はその人の地位や立場に応じて決まっていたと思われますし、首飾りを身に着けられるのは一部の人だったでしょうが、ある程度は好きな形のものを選んでいたのではないかな? などと考えてしまいます。

 

今回、古墳時代の資料は、珍しいガラスの勾玉や、通常は展示していない三角縁神獣鏡や装飾大刀も出展しています。これから寒さ本番ですが、どうぞお越し下さい。

 

【2018年新春展ブログ4】

考古美術室 F 

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